NBAフェニックスサンズ観戦記

 アメリカの4大プロスポーツの1つ、NBAバスケットボールの試合をフェニックスで観戦しました。僕が観たのは2003年10月7日、シーズン前に行われる「プレシーズンマッチ」の初戦で、フェニックス・サンズのホーム「アメリカウエストアリーナ」で、地元サンズがニュージャージーネッツを迎えての一戦でした。
 チケットの予約は、事前にNBAのオフィシャルサイトから手配(手配はチケットマスター)し、料金はクレジットカードで決済され、そして実際に試合開始前に会場のチケットブース「Will Call」と表示されているところで、予約時のクレジットカードを提示して正式なチケットを受け取ります。僕が手配したのは最も安い席でしたので料金は10ドルでしたが、手数料や税金が加算され、実際にカードに請求がきたのは18ドル40でした。

 試合開始時刻は午後7時でしたが、チケットの受け取りのため早めに会場に向かい、アメリカウエストアリーナの隣にある自走式駐車場に車を停め(駐車料金はたしか6ドルほどでした)、午後5時にはチケットを受け取りましたが、残念ながら会場に併設されているはずのグッズ売場が工事中で営業していなかったため、さすがに2時間も会場で待つのは退屈するだろうと思い、まずはチケットだけピックアップして、そのまま会場には入らず、少しフェニックスのダウンタウンを散歩することにしました。 (アメリカウエストアリーナはフェニックスのダウンタウンに位置しているため、観光案内所やアリゾナセンターにも徒歩圏内です。)
 ゆっくりと歩いてアリゾナセンターに向かい、10分ほどで着きました。フェニックスの街並みは、とても綺麗でゆったりしているので気分良く散歩できました。
 アリゾナセンターは、店舗数は多くないものの、おしゃれなカフェやレストランにはテラス席があり、緑が多くてのんびりとした雰囲気が漂っています。スポーツグッズの専門店もあり、MLB、NFLの各チームのオフィシャルTシャツ、キャップ、そしてもちろんNBA関連グッズも揃っており、レプリカユニフォームなど、各チームのものが豊富にありました。
 6時前になり、試合開始にはまだ時間がありましたが、練習の様子なども観たかったため会場に戻ることに。すると、アリゾナセンターの前で、リアカーのようなものの付いた自転車に乗った人に「バスケットボールを観るのか?」と声を掛けられました。「そうです」と答えると、「乗せていってあげるよ」とのこと。どうやら自転車版のタクシーのようなもののようです。しかし料金の表示がないため「いくらかかりますか?」と聞くと、「5ドルくらいでいいよ」とのこと。料金制ではなく、どうやらチップだけということのようですが、おもしろそうだったので乗せてもらうことに。この自転車にはモーターが付いているため、速度もかなり出て、風を切って走るのは気持ちがよく、途中、「空を見て!」と言われて見てみると、なんと虹が見えました。少し小雨が降ったことによって虹が出ていたと思うのですが、フェニックスは極端に雨が少ない街なので、運転手さん(自転車の)もとっても驚いていて、嬉しそうだったのが印象的でした。乗っていたのはほんの数分のことでしたが、記念に写真を撮ってくれたりと親切な方で、ちょっとしたことですが、良い思い出になりました。

 会場に入り、チケットに記載されている座席番号の場所に、案内表示に従って向かいます。通路にはファーストフード店が点在していて、ホットドッグやハンバーガーを、オニオンやピクルス、ケチャップとマスタードを自分の好きなだけ入れることができるようになっています。(このような会場ではどこでも同様だと思いますが、ジュースなど、アメリカにしては少し高めな値段設定になっています。)ここで食べたのが、ホットドッグと「チキンウイング」です。このチキンウイングは、骨付きのチキンが唐揚げになったものに少しピリっとする味付けがされているものでとっても美味しかったです。
 買ったものを両手に抱え、チケットに記載されているスタンド席に。スタンドに出た瞬間、目の前にはライトで鮮やかに写し出されたコートが飛び込んできました。きれいに磨かれ輝いたコート、少し派手目な電光掲示、目に飛び込んでくる景色に新鮮な驚きを感じ、試合を観る前から既に「来て良かった」と感じました。電光掲示では、試合開始までの時間がカウントダウンされており、コートでは両チームの選手たちが練習をしています。その様子が、僕が手配した最も安い3階席からも見ることができ、見ているこちらまで気持ちが高ぶってきます。

 試合時間が近付き、コートで練習していた選手たちが一旦引き上げてゆき、またぞろぞろと現れてきたところで突然会場内の照明が消され、レーザー光線が会場中を周り、一斉に歓声が上がりました。「いよいよ始まるんだ」と、会場中がスタンディングオベーションで拍手し、雰囲気が一気に盛り上がった時に、アメリカ国歌の演奏が静かに始まりました。すると、驚くべきことに、ついさっきまで大きな声で話していた人達も大騒ぎして走り回ったりはしゃいでいた子供たちも、立ち上がった観客全員が、誰一人身動きすることなく静まり、胸に手を当てて祈りを捧げる人、直立不動で目を閉じている人、みんなが思い思いに国歌の演奏に聴き入っていました。その間、演奏する楽器の音以外の全ての音が、見事に会場から消えたのです。入れ墨をした人、見るからに怖そうな人、大騒ぎしている子供たち・・・全ての人達の心が一つになったような、そんな感覚を味わうことができました。日本でも(そんなに頻繁ではありませんが)色々なスポーツを観に行きますが、これほどまでに一体感を感じたことはありません。ぜひとも見習いたい、アメリカ人の素晴らしい部分だと、心からそう思えました。

 試合は、さすがにNBA、プレシーズンマッチとはいえ、選手たちの素晴らしいプレー、スピードと迫力、臨場感を存分に楽しむことができました。残念ながら地元サンズは負けてしまいましたが、ハーフタイムはもちろんのこと、タイムアウト時やクオーターの合間などに観客を飽きさせないために様々な催しが行われます。チアガールによるダンスは頻繁に行われますし、ハーフタイムには「ジュニアサンズ」という子供たちのがコートに出てきてバスケットボールをするのですがみんなとっても上手で楽しませてくれました。また「Tシャツタイム」という、Tシャツをスタンドに向かって投げ、見事キャッチした人は貰うことができるというサービスもあり、(さすがに3階席までは飛んできませんでしたが・・)他にも、「ダンクタイム」(チームのマスコットキャラクター達がトランポリンを利用して色々な形のダンクシュートを見せてくれました)、「ジュークボックスタイム」(電光掲示に曲のタイトルが3曲表示され、一曲づつ、観客に拍手を求め、最も拍手の多かった曲が会場に流れます)など様々な催しがあり、観客を楽しませることに関しては、さすがにエンターテイメントの本場であることを実感しました。

 今回は10ドルという最も安い席での観戦でしたが、それでも十分に大満足でした。たしかに試合を観るにはちょっと遠いため選手の顔までは観ることができませんでしたが、その場にいるというだけで、雰囲気を十分に楽しむことができます。また絶対に行きたいと思います。

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